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「大切な友達だから」
第四章
「新しい冒険」


(27)
ゴトゴトとゆれる荷馬車の荷台で話しをしていました。

「ねぇ、クーぼくは荷馬車に乗ったの初めてだよ」

ルーは落ちないようにしっかりと荷馬車に両手でつかまっていました。

「うん、おばあちゃんから聞いた事はあるけど、本当に馬が引いているんだね」

クーもしっかりとつかまっていました。

「でも、この荷馬車はぼくたちの町を知っているのかなぁ。

それに大きなネコを見つけないで帰ると、ミーとスーに笑われてしまうね」

ルーは遠くを見ながら心配そうに言いました。

「うん、でも、ぼくはまた探しに冒険に出てもいいよ」

クー元気よく言いましたが、本当は見つけて帰りたかったのです。

しばらくすると、2匹の前に街が見えてきました。

でも、その街を見た瞬間、2匹は目を丸くして口々にこう言いました。

「ぼく達の町ではないよ!」   「知らない街だ!」

2匹を乗せた荷馬車の行き先は見た事もない、新しい街でした。


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「クー、ここはどこなんだろうね」

ルーは初めて見るけしきを、ながめながら言いました。

そのとき、『ガタガタ』荷馬車が急に止まりました。

「ルー荷馬車が止まったよ。急いでおりよう!」

2匹はあわてて飛びおりました。

「イテテテ、おしりを打ってしまったよ。」泣き虫のルーは少し涙が出てしまいした。

涙をふきながら、まわりを見渡してみると、

2匹の住んでいる町よりも、そこはもっと大きな街でした。

「クーこれからどうやって家にかえるの?」

ルーは不安でたまりません。

クーが言いました。「この街のネズミをさがさないとね」

ルーが不安そうに言いました。「どうやってさがすの?」

その時!とつぜん大きな影が2匹に飛びかかってきました。

「わ!!!!!」 「たすけて!!!」

2匹は何か大きなものにつかまってしまいました。


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クーはシッポをつかまれてしまいました。

「い、いたい!なにをするんだよ」

ジタバタともがきながら見てみると、大きなねこの目が光っています。

「ルー変だ〜!大きなネコにつかまってしまったよ!!」

クーは気をうしなっているので返事はありません。

ネコの目がクーに近づいてきて、そして、大きな口をあけました。

「たべないで〜〜!!」クーは頭を押さえて叫びました。

その時、「ははは、こんなチビたちを食べてもお腹が一杯にならないぞ」

横にいた他のネコが笑いながら、そう言いました。

「わ・・大きなネコばかりだ」クーは心の中で思ったと同時に

「大きなネコがいっぱいだ!!!」

気をうしなっていたルーが目をさましてネコに気付いたのです。

クーが急に動いたので、2匹を捕まえていた大きなネコは

おもわず手を離してしまいました。

「いまだ!ルー逃げるよ!!」 「クー、ま、まって〜〜」

ルーは途中で転んでしまいましたが、

2匹はネコが追って来られない所まで逃げる事が出来ました。

知らない街の知らないお店の裏手に座って空を見上げてみると、

この先、自分達がどうなってしまうのかが不安でした。

ルーは痛いのと悲しいので涙が出そうになってしまいそうです。


(30)
ルーは涙がちょっぴり出てしまったので、クーに見られない様に

少し離れた所まで歩いていきました。

その時、「おい!おまえは、この辺で見る顔じゃないなぁ」

声のする方を見てみると、そのには太ったネズミが立っていました。

その横には、もう1匹、細くて背の高いネズミがこわい顔をして見ていました。

「ぼ、
ぼくは・・・」ルーのへんじは声になりません。

「ルーに何をするんだ!」突然、クーが2匹に飛びかかって行きました。

「なんだこのちび達は!」と言ったその後「あははは」

太ったネズミはクーを見てとつぜん笑い出しました。

そのことばを聞いたクーとルーはおたがいの顔をみて、

「あははは!!」笑いころげてしまいました。

2匹は大きなネコに押さえられて、顔がどろだらけになっていたのです。

「なんだ、おまえ達、ずいぶんと泥んこだなぁ」

太ったネズミがあきれ顔です。

クーは泥んこの顔をふきながらいいました。

「ぼく達ここがどこかわからないのです。ここはどこですか?」

細くて背の高いネズミが答えました。

「へんなやつらだな、ここは『北の山の街』だよ。」

「『北の山の街』だって!!!!」

クーとルーは泥をはらうのをやめて声をあげてしまいました。


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2匹が住んでいるいる町は東の町。それも一番端の町です。

あまりにも遠くに来てしまっていた事を知った

ルーは腰を抜かしてしまいましたが、クーはしっかりと立っていました。

でも、心の中ではどうして良いのかが解からなくなっていたのです。

2匹はしばらく声が出ませんでした。

その時「なんだおまえ達、家がどこにあるか分からないのか?」

太ったねずみがお腹の上で腕組みをしながら言いました。

「僕達旅をしているのだけど、いろいろな事があって家が分からなくなってしまったんだ」

ルーがやっと声を出しました。

「早く、そう言ってくれればいいのに、よし、仲間に聞いて回ろう」

背の高いネズミが大きな声で2匹の泥をはらいながら言いました。

クーとルーは太ったねずみと背の高いネズミと一緒に街中を回る事にしました。

泣き虫ルーは他のネズミ達と一緒なので少し元気が出てきていました。


(32)
クー達と2匹のネズミは街中を沢山歩き回りました。

背の高いネズミの友達で、ケーキ屋さんの屋根裏に住んでいる大きなネズミや、

太ったネズミの知り合いのおじいさんネズミにも聞いてみましたが、

クー達が探している大きなネコは誰も知りませんでした。

「クー、ぼく、もう疲れてきちゃたよ」

ルーは道路にすわり込んでしまいました。

「そうだね、ぼく達もお腹がすいてきたよ。でも、ここは危険だから早くどこかに行かないと・・・」

背の高いネズミがまわりを気にしながら言いました。

「危険って?何が危険なの?」

ルーはクーの後ろに隠れながら、尋ねました。

その時!「あぶない!!」太ったネズミが大きな声をあげました。

2匹が振り返ってみると、さっきの大きなネコが飛びっかってきたのです。

「わ〜〜〜!!」「にげろ〜〜〜!!!」

4匹はバラバラに逃げて行きました。

太ったねずみと背の高いネズミは、それぞれ違った壁の穴に、

クーは近くにあったゴミ箱に飛び込んで行きました。

ルーはと言えば、大きなネコにつかまってしまい、どこかに連れさられてしまいました。

「ルー!!!ルー!!!」

大きな声でクーは呼びましたが、ルーの返事は聞こえません。

ただ、街の中でクーの声が悲しくひびき渡るだけでした。


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ドサ!

大きなネコはルーを床に投げ出しました。


「いててて・・・ここはどこ?」

ルーが連れてこられたのは見知らぬ暗い部屋です。

「おまえはどこから来たんだ。見た事もない顔だなぁ」

「ほんとうだ、見た事もないネズミだよ。それにしても汚いやつだな」

2匹のネコがルーを覗いて言いました。

「ぼ・・ぼくを食べても、きっとおいしくないよ」

ルーはいつもよりもっと小さくなって答えました。それに泣き出してしまいそうです。

「あはは、お前みたいなガリガリのチビを食べてもしかたないさ」

大きなネコは大きな声で笑いながら言いました。

「じゃぁ、なんでぼくなんかをここに連れてきたの?」

「ははは。おまえ達と一緒にいたのっぽのネズミと太ったネズミが

いつもおれ達の食べ物を先に持って行ってしまうから、少しおどろかしてみたんだよ。」

「でも、まさかこの街で見た事もないネズミを連れてきてしまうとはなぁ」

どうやらネコはルーを食べるつもりは無いようです。

ルーは思い切って大きなネコにたずねてみる事にしました。

「ネコさん、ぼく大きなネコを探しに旅に出て、この街にたどりついたんだ。

あなたよりも、もっともっと大きなネコを見た事はないですか?」

「おれよりも大きなネコかぁ・・・ おい、おまえ知っているか?」

大きなネコはもう一匹のネコにたずねました。

「もっと大きなネコ?・・・そういえば一度だけ、すごく大きなネコを見た覚えがあるよ」

「見た?」「見たんだ!」

大きなネコとルーは同時に大きな声を出しました。


(34)
そのころ、クーはルーを探しに街中を歩き回っていました。

「ルー、ルーどこに行っちゃったの?ぼくもう歩けないよぉ…」

長い時間歩き続けていたので、足が痛くなっていました。

手も足もまっ赤になってしまったのです。

クーはルーの事が心配で涙が出てきてしまいました。

涙をまっ赤になった両手でぬぐいましたが、次から次へと

涙が出てきて止まらないのです。

その時、後ろの方から「オーイ!」声が聞こえてきました。

声の方にふり返ってみると、大きなネコが走ってドンドンと近づいて来るのです。

「わ〜〜〜〜!!ぼく食べられちゃう!!」

クーは自分の頭をまっ赤になった両手でかかえたまま、うずくまってしまいました。

その時、トン!トン!とクーの背中を誰かがたたきました。

そーと見てみると、そこにはさっきの大きなネコが

ニコニコしながら立っていました。

そして、その大きなネコの背中から、何者かが降りてきました。

「ははは、クーったらまるでぼくみたいだよ。」

クーが両手を離してふり向いてみると、そこにはルーが

ニコニコしながら立っていました。


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