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「大切な友達だから」
第三章
「2匹森を出る」


(17)
クーの声にビックリして下を見てみると

そこには大きな真っ黒の犬が歯をむきだしてルーの方を見上げていました。

その大きさは2匹の住んでいる街のジュンよりも、もっと大きい見たこともないくらいです。

「ど、、もどらないと・・・」ルーは心の中でさけびました。

細い枝に乗っていたルーが急いで戻ろうとした時に「ポキッ!」枝が折れてしまったのです。

「わわーーーーー!!!!」ルーは犬のいる下の方に落ちて行ってしまいました。

向こう岸にいるクーはその様子を見て思わず川に飛び込んでしまいました。

「ブクブク・・・」クーは川の流れに飲まれて流されてしまったのです。

「いててて・・」ルーが落ちた所は枝の下にあったテーブルのごちそうに使った

ピクルスのビンの中です。

「こんな所に入ってどうやって出ればいいのかなぁ」ルーはひとり言をいいました。

その時!「ウーーー!!ワン!」さっきの大きい黒い犬がルーの入っている

ピクルスのビンに飛びついてきたのです。

「こわいよーーー!!」ルーが叫んだ時にビンに犬の前足があたって

「ゴロゴロゴロ・・・・ポチョン」

ビンはゴロゴロと転がって川の中に落ちて行きました。


(18)
それを見ていた他の大きな白い犬も、ルーが入っているビンを追いかけたのです。

「こわいよー恐いよー」ルーはどうなってしまうのかが恐くて涙が出てしまいました。

その時、川岸にモーターボートが高いエンジン音をたて、水しぶきを上げながらやってきました。

その音に黒と白の2匹の犬はびっくりして逃げていきました。

水しぶきはルーの入っているビンのそばにも大きな波となっておそってきました。

「水が入ってしまう!!」ルーは思わず、ビンのふちに両手を乗せて、足をふんばって

ビンが倒れてしまわないようにしました。

ビンを襲ってきた波はルーを乗せたまま川の流れの中へと押しやってしまったのです。

「川の中に入ってしまったよ。クーはどこに行ったのかなぁ。」

さっき、川にすべり落ちたクーは流されたまま、どこにいるのか声も姿も見えなくなってしまいました。

ルーはビンがひっくりかえらない様にシッポと足でうまくバランスを取って

ビンの底に座りました。「あれ?これはなんだ?」

ルーの手に当たった物はビンの底に残っていたピクルスでした。


(19)
お腹のすいていたルーはピクルスをムシャムシャと食べました。

でも、食べている時、急にクーの事を思い出してしまって食べるのをやめてしまいました。

「クーもお腹ペコペコなんだろうなぁ…」クーの分を残しておくことにしたのです。

「このピクルスを見たらきっと喜ぶよ。でも、どこに行ってしまったのかなぁ・・・」

クーの事を考えていた、お腹がいっぱいのルーは急に眠くなってしまいました。

川の流れがまるでゆりかごの様にゆらゆらとしていたのです。

眠ってしまったルーの入っているビンから見える外の景色は少しずつ暗くなっていました。

長い時間がすぎたその時!ガガガガ!!!ゴトン!!!

「な、何だこの音は!!!?」ルーの乗っていたビンは倒れてしまって、川の水が入ってきました。

ルーは沈みかけたビンからあわてて外にでました。

「シッポもお腹も水にぬれてしまってびしょびしょになってしまったよ」

少し悲しくなってしまいました。でも、手にはピクルスをきちんと持っています。

ルーが岸に行こうと少し歩いた時「おっととと!!」ドダッ!!

ルーは何かにぶつかって転んでしまいました。


(20)
「いたたたた・・・」ルーは両手を広げながら転んだので、持っていたピクルスを投げてしまいました。

その時、ルーの目に入ってきたのは、流木につかまってびしょびしょになっているクーでした。

「クー?クーだよね?なんでこんな所にいるの?」

ルーはぐったりとしているクーの肩をゆすりながら声をかけました。

「う・・・・」耳をすましてやっと聞こえるくらいの小さな声でしたが、クーの声でした。

「ぼく、ぼくだよ!!ルーだよ」目に涙をいっぱいにためてクーを抱きしめました。

2匹はやっと一緒になれたのです。

「そうだ、ピクルス、クーに食べさせないと」ルーはぐちゃぐちゃになってしまった

ピクルスを見つけて、いそいでクーの口に入れました。

その後に流木から少し離れた所にクーを連れて行って、草でからだをふいてあげました。

少しするとクーの目が開いて、ルーの顔に気が付くと

「ルールーぼくの事を助けてくれたのだね」ルーにだきついてきました。

2匹は心があたたくなって、涙が止まりませんでした。

あたりはすっかりとくらやみになってしまいました。


(21)
2匹は石に座ってお互いに何があったかを話しました。

「じゃぁ、ぼくが川に落ちた後はルーは犬におそわれそうになったんだね」

「うん。ビンの中から見えた犬の顔は近くなっておおきかったから、すごく恐かったよ」

ルーは両手を広げながら「大きなネコよりももっと大きく見えたんだ。クーにも見せたかったなぁ」

「はは、僕は川に流されながら、水の中でさかなを見たよ。それもおおきかったよ」

2匹はお互いの見た犬や魚を、まるで自分が見たかの様に思えました。

長い時間、話をした後、クーが思い出した様に言いました。

「ところでここはどこなのかなぁ。大きなネコは僕達みたいに

ガケから落ちたり、川を流れて来てはいないよね。」

「クー、僕は本当に見たんだよ。でも、家が遠くなってしまって、もう帰りたくなってしまったよ」

「ミーとスーはどうしているかなぁ」ルーは耳のそうじをしながら、星空を見上げました。

川から流れついた2匹の周りはまだ深い森でした。

それも、くらやみの中では、2匹のすがたもほとんど見えないくらいの深い森です。

クーが突然に立ち上がりながら言いました。

「少し歩いてみようよ。このままでは大きなネコも見つからないし、家にも帰れないよ」

「うん、そうだね。行こう!」2匹は深い森の中へ入って行きました。


(22)
森の中を歩いていると沢山のケモノの声が聞こえてきました。

「ホーホーホー」こわがりのルーはふくろうの声もこわくてたまりません。

「クー痛いよ。それにぼくにそんなにしがみついたら歩けないよ」

ルーがしがみついているので2匹はほとんど前に進んでいませんでした。

「そうだ楽しい話をしよう」ルーの手を離しながら言いました。

「パン屋さんで落ちてきたパンをおじさんに見つからないようにサッと取りにいくのは

ミーが一番速いよね」クーがそう言うとルーが続いて言いました。

「あはは。そうだよね。それを見ていたスーがいつも怒っていたね」

「そうそう、そうだよね。スーは大きいからいつもミーに越されちゃうんだ」

「あはは、でも、いつもスーによこどりされちゃうんだよね」

「ハハハそうだよね」「ハハハ僕はいつもおこぼれもらったよ」

2匹の笑い声が森の中にひびき渡りました。

しばらく歩いていると遠くに明かりが見えてきました。「クーあれはなんの明かりかな?」

2匹は走って明かりがはっきりと見える所まで行きました。

「人間の住んでいる家だよ。ほら人影がみえるだろう?」

2匹はもっと近くに行こうと走りました。

その時!大きな影が突然におそってきました。

「クー後ろ!後ろ見て!!!」「わーー!!!!」


(23)
「ガウウウ!!なにをしているんだ!」

クーのシッポを前足でふんだのは昼間の黒い犬でした。

クーはどんなに土をけってもジタバタしてしまうだけで逃げられません。

「クーを離せ!!」

ルーは勇気をふりしぼって、犬に飛びつき、おまけに耳をかじりました。

「イテテテ・・なんだもう一匹いたのか。」

黒い犬はルーを払い落としてシッポを押さえつけました。

「おや?さっきのピクルスのビンに飛び込んできたチビじゃぁないか」

2匹は犬の前足にふまれてジタバタしてたのですが、

その声を聞いて、犬の顔を振り返ってみました。

ルーが言いました「あ!昼間、ぼくがビンに落ちたときに飛びついてきた犬だ!」

黒い犬は2匹のシッポをふむのをやめました。

「なんで離してくれるの?」クーが聞きました。

「ハハハ。そっちのチビねずみがビンに落ちて来たから、助けるつもりが前足があたっちまって

そのまま、ゴロゴロと転がって行ってしまったのさ。そのチビと知って離さない訳に行かないなぁ」

黒い犬の話だと、どうやら白い犬もルーを助けようとした様だったのです。

グゥ、ググゥーーー。

その時に2匹のお腹の虫が鳴ってしましました。

「おや、2匹とも腹ペコなのかい?」2匹はおおきくうなずきました。

「よし!私がごちそうしてあげよう」

どうやらやっとお腹いっぱいになれそうです。


(24)
「ははは、らくちんらくちん」とルーがいいました。

クーがいいました。「ほんとだね。ぼくこんなに初めだよ」

2匹は黒い犬の背中の上でユラユラゆれながら笑っていました。

黒い犬が走ると2匹は落ちそうになって、しっかりと背中の毛をつかんで

落ちないようにしがみつきました。

「もうじき我が家につくよ。ほら明かりが見えてきただろう?」

黒い犬が走りながら2匹にそう言いました。

「あ、あれはさっき見えていた明かりの家だ。なんだか良い匂いがしてきたよ」

ルーはしっかり背中の毛につかまりながら、うれしそうに言いました。


しばらくすると家の裏にある納屋につきました。

「ほら着いたぞ。おちびさん達、おりていいぞ。」2匹は納屋の入り口でおろされました。


黒い犬と一緒に納屋の中に入って行くと

そこには温かそうな干草が沢山積まれていました。


「ルーやっと温かく眠れそうだね」クーは干草に顔を入れて匂いを嗅ぎならがら言いました。

ルーはお腹をおさえながら言いました。

「うん、でも今度はぼくのお腹がグーグー言っているよ」


2匹はこの大きなネコ探しの旅に出てから、まともな食事はしていませんでした。


(25)
2匹が周りを見渡してみると、そこには沢山のにわとりがいました。

2匹に気が付いたにわとり達は大騒ぎ!

「ねずみよ!ねずみ!!たまごを食べられてしまう!」

「なんだ!なにがあったんだ!」

騒ぎを聞きつけたオスのにわとりがやって来て、2匹をつかまえようとしました。

「わ〜〜〜〜!!!こわいよ〜!!」

クーとルーはあわてて外に逃げ出しました。

「ははは。なにを大騒ぎしているんだ、この2匹のおちびちゃん達は大丈夫だよ」

黒い犬は2匹の冒険の事をにわとり達に説明しました。

「そうか、こんな小さいのにたいしたものだよ」オスのにわとりは言いました。

クーとルーは顔を見合わせてニコニコ笑顔です。

納屋の奥の方に入って行くと、2頭の馬もいました。

「おちびちゃん達、おなかが空いているだろう?あそこを見てごらん」

1頭の馬が教えてくれた先には、おいしそうなチーズが沢山置いてありました。

「わーこれ食べてもいいの?ありがとう」

ルーはそう言いながらチーズを両手で持ってさっそく食べ始めました。

2匹は久しぶりにお腹いっぱいに食べたので眠くなってきたのですが

その時にメスのにわとりが声をかけました。

「たまごはあげられないけど私の羽の下でも休んでもいいわよ」

これで2匹はすてきな夢を見て眠むれそうです。


(26)
「コケコッコー」おんどりの声が森にひびき渡りました。

朝もやの中をあさひがさしてキラキラしています。

あさひはクーとルーのほほにもあたって、2匹には少し暖かく感じました。

「起きなさい朝が来たわよ」メスのにわとりが2匹をやさしく起こしました。

2匹はにわとりの羽の中でぐっすりと眠れる事ができました。

「ほらほらいつまでも眠っていないで、朝ごはんだよ」

昨日の黒い犬が声をかけました。

2匹が起きてみると、そこにはやきたてのパンと見たこともないチーズがたくさん。

思わずクーは飛びついてしまいました。

「ミーが見たら喜ぶのにね」ルーはそう言いました。

クーがいいました。「それにスーはぼくの分は食べたらダメだよって怒るんだ」

2匹は口の中にパンとチーズを沢山詰め込んで大笑いです。

しばらくすると「もう、おなかいっぱいになったかな?」

黒い犬が声をかけてきました。

2匹は声を出さずにうなずきました。

「ほら、外をみてごらん、あの荷馬車はこれから街まで行くんだよ。」

そこには今にも出発しそうな荷馬車が待っていました。。

「いそがなくちゃ!」2匹はあわてて荷馬車に乗り込みました。

「げんきでね」「気をつけるんだよ」「おおきなネコが早くみつかったらいいね」

にわとり達と黒い犬が2匹に声をかけました。

動き出した荷馬車の荷台でルーとクーはみんなに手をふりました



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