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「大切な友達だから」
第二章
「2匹旅に出る」


(9)
クーのことばを聞いて、ルーは少しだけ元気が戻ってきました。

「じゃぁ、家に帰ってミーとスーに話してからさがしに行こう」クーがそう言いました。

4匹は町にある家の庭に捨てられいる、おもちゃの中に住んでいるのです。

「だめだよ!見つけるまで絶対に帰らない!」ルーはまだ怒っていました。

それに元気もまだありません。

「じゃぁ。このまま行こう!」クーは大きな声でルーの元気が出るようにいいました。

ルーは元気よくピョンと立ち上がりました。

最初は仲良しのおじいさん犬のジュンのところに行って大きなネコの事を聞いてみました。

「なんだって?大きなクマかい?知らないねえ」耳が遠くて、クー達がなんと聞いているのかが

わからないみたいです。「他の誰かに聞こう」今度はパン屋さんとなりにすんでいる、

ネコのべスに聞いてみました。「あら、そんな大きなネコなら私の彼がいるわ」

でも、そのネコは犬のジュンよりも小さいネコの事でした。

それからも沢山の友達に聞いてみましたが、誰も見ていませんでした。

クーはまだグーグーと鳴っているお腹を押さえながら言いました。

「ぜんぜんだめだね。どうする?」

「見つけるまでは帰らない!」ルーは手を高く持ち上げて、そう言いました。


そしてルーが言いました。「後はさがすとしたらあっちか・・・・・」

2匹がどうじに見た先には暗い森の中に続く、細いけもの道がありました。


(10)
暗いけもの道を見たこわがりやのルーは思わずクーに抱きついてしまいました。

ルーはクーの耳元で言いました。「クー、もっと明るくなってから、探しにいくのはだめかなぁ」

クーは自分のからだからルーを手で押し離しながら言いました。

「明るくなるといろいろな怖い動物に見つかってしまうよ。もしも、つかまってどこかに連れて行かれたら

家には帰れなくなるよ」ルーは怖い動物の事を想像してもっと怖くなりました。

「わかった。暗い内に森を通り過ぎてしまおう」ルーは思い切って言いました。

森へ続くけもの道の入り口にはクーが先に入りました。その後ろにぴったりと付いて

ルーが歩いてはいりました。「寒いね」ルーの声が森の中でひびきました。

「お腹がすいているから、もっと寒く感じるよ。何か食べてくればよかったなぁ」

クーはもう鳴らなくなってしまったお腹を手で押さえながら、あたりを見渡して言いました。

「もう少し歩くと何か食べ物が見つかるかもしれないね」

「クー。ぼくもなにも食べていなかったんだ」

パン屋さんで皆とけんかして外に飛び出してしまったルーも何も食べていなかったのです。

「なにか木の実の匂いがするよ」クーが何かを見つけました。

「うん。ぼくにも匂いがしてきたよ」2匹は急いで匂いの方に走って行きました。

その時!ガサガサガサ!!2匹の後ろで大きな音も走りました。

「わわわわ!!!何の音だ!」大きな音に気が付いたルーはびっくりして転んでしまいました。


(11)
「いたたたた・・・クーなんだか体中が痛いよ。」ルーのまわりには鋭いトゲが沢山。

そして、ルーが言いました。「なんだか良い匂いが僕のまわりでするよ」

ルーの姿を見たクーはゲラゲラと笑い出しました。

「あはは。ルー自分のまわりを見てごらんよ」

ルーのまわりにはラズベリーとブラックベリーの赤や黒や紫色にじゅくした木の実が沢山ありました。

なんとかトゲの間からぬけ出してきましたルーの両手には沢山のベリーの実の山。

2匹はむちゅうでお腹いっぱいになるまで食べました。

口のまわりはベリーの色で赤紫色になっています。

「これからどっちの方に行くの?」お腹がいっぱいになったルーはクーにたずねました。

「どこか高い所に登って、遠くを見てみるよ」

クーは近くに生えているジューンベリーの木を落ちない様にゆっくりと登って行きました。

「何か見えた?」ルーが木の上を見上げながらたずねました。

「暗くてだめだよ」クーはジューンベリーのたわわになっている青紫色の木の実をもぎながら、そう答えました。

「じゃあ、けもの道の先に行ってみるしかないね」ルーはそう言いました。

「そうだね。その前にこの木の実を少し持って行こうね」

クーはじゅくした実だけを選んでジューンベリーの葉に包んで降りて来ました。

2匹はふくらんだお腹をさすりながら、真っ暗なけもの道の先に進んで行きました。


(13)
どのくらいの時間がたったでしょうか、2匹はずいぶんと長い時間、暗いけもの道をあるきました。

「いつまでたっても森の出口につかないね。クーぼくなんだか疲れたよ。」

ルーの目はほとんど開いていませんでした。歩くのもやっと。

「前に一回来たことがあるんだけど、この道でいいはずだよ・・」

クーはベリーが包んである葉を肩に乗せなおしながら、そう言いました。

「足もこんなになってしまったよ」ルーは自分のどろだけの片方の足をふりあげて

クーに見せながら言いました。

「少し眠ってから、また歩こうよ」ルーはもうほとんど歩いてはいません。

その時、ザザザ!!!2匹の後ろで大きな音がしました。

クーはびっくりしてベリーの入った葉を落としてしまい、ルーはクーより先に走り出しました。

「なんだ!!なんだ!何の音!??」「怖いよー!」

2匹は振り返りもしないでひたすら走りました。

ルーの目がすっかり開いてしまうくらいに、ずーと遠くにまでです。

しばらくするとルーは走るのをやめて言いました。「もうここまで来たらさっきの音のぬしはこないよね」

「うん。だいじょうぶだと思うよ」クーも走るのを止めて歩きだしました。

「少し、この石にすわって休もう」「うん」クーに言われてルーも石に座りました。

ガタッ!ガタガタ!!!「なんだ!わわわー!!!」突然に2匹の座っていた石が動き出してしまい

2匹は石から投げ出されて、がけの下に転がって行ってしまったのです。


(14)
「いたたた・・からだ中がいたいよ」ルーは腰をさすりながら立ち上がりました。

「あれれ??ここはどこかなぁ。」気がつくとがけのずっと下に落ちていたのです。

「すっかり朝になっているよ。クーはどこかな?」

そうです。2匹ががけから落ちて、もう何時間もたっていたのです。あたりはすっかり明るくなってしました。

「クー!クー!!ぼくはここだよ。クーはどこにいるの?」

泣き虫のルーは泣きたくなって来ました。その時に遠くから小さな声が聞こえてきました。

「ルー〜大丈夫だった?ぼくはここだよ!」

声のする方を見てみると、クーの振っている小さな手が遠くの方に見えています。

クーのそばに行こうとルーが足をふみだすと「パチャッ!」水の音がしました。

「つ、冷たい!」思わず飛び上がってしまいました。目の前は大きな川。

2匹はがけからおちて、クーは気をうしなったまま、大きな葉っぱに乗ってしまい

向こう岸に流されてしまったようです。

「ルーぼくたち、けもの道からはずれてしまったよ」クーの振っている手と声がだんだんと

近くなって、はっきりとわかるようになりました。

「そうだね、ここからは、けもの道にはもどれないけど、ぼくはクーのそばにも行けないよ」

2匹はもう、けもの道どころかいっしょにいる事ができなくなってしまいました。


(15)
「クー、僕たちはこれからどうすればいいのかなぁ…うちに帰る道もわからなくなってしまったよ」

ルーは川の音に声がかき消されてしまわない様に大きな声で言いました。

「ぼくのとうさんが言っていたのだけど、川からずーと下の方に行くと、かならず人間の町があるんだって

ぼく上にもどるより下に行った方がいいと思うんだけどルーはどう思う?」

クーは少しでもルーに聞こえるように両手を口に当てながら、そう言いました。

ルーは少しでもクーの近くに行きたくて、沢山の小石の上をピョンと飛び越えて川岸のギリギリの所まで来ました。

でも、とてもクーのそばに行ける事はできないくらいに離れていました。

「そうしようよ。でも、ぼくはそれより先にクーのそばに行きたいよ」

ルーは1匹でいるのがこわくてたまりませんでした。

「ぼくもそうだよ。僕たち同じように川を下に歩いて行けばいつも声が聞こえるから大丈夫だよ」

クーもほんとうは少しこわかったのですが、がまんしてルーにはわからないように元気そうな声を出していたのです。

2匹は別々の川岸を下の方に歩き出しました。

少しするとクーがお腹を手で押さえながらいいました。「また、お腹がすいてきたよ」

夕べ、ベリーを食べてから2匹は何も食べていませんでした。

「うん。ぼくもお腹がすいた」

ルーはクーが大きな音に驚いて落としてしまったベリーの事を思い出しましたが、言葉にはしませんでした。


(16)
2匹はべつべつの岸を川の同じ方向に歩いて行く事にしました。

頭の上には少しの雲も出ていない真っ青な空が広がっています。

しばらく歩いていると何か良い匂いがしてきました。

「クー 何か匂いがしてくるよ。わかる?」食いしん坊のルーが言いました。

「うん。ぼくの方にも匂ってくるよ。美味しそうな匂いだね」

反対側の岸にいるクーにもわかるほどの匂いです。

ルーが匂いの方に急ぎ足で行ってみると、そこには人間が作っている美味しそうな

料理がテーブルの上に並んでいるのが見えてきました。

「クー!クー!ほら見て!あんなにごちそうが並んでいるよ」

ルーは向こう岸にいるクーに向って言いました。

でも、クーには遠すぎてテーブルの上に置いてある物は見えません。

「クー ごちそうが沢山だよ!」

ルーはテーブルの横に立っている大木の小枝から、食べ物が入っているお皿に飛び降りようとしていました。

その様子を見ていたクーが大きな声を出しました。

「ルー!!!大変だよ!!下!!下を見てごらん!!」

ルーはクーの声にびっくりして下を見てみました。



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