Blue Roof 童話のページ


「シュシュの夢」

第二章
「大切なもの」


(8)
「ジョンじいさん、そのネズミ達っていつもおれ達と遊びに来る2匹の事?」

スーはジョンじいさんの耳に向って大きな声で尋ねました。

「そうじゃ、いつもの泣き虫ねずみと、かしこいねずみじゃ」

「クーとルーだ!」

それを聞いて、2匹は大きな声で叫んでしまいました。

「でも、なんでクマなんて探していたんだろう」ミーは少し考えて、

「大きな??そういえばルーが大きなネコとか言っていた覚えがあるよ」

なにか大切な事を思い出した様です。

次の瞬間、びっくりしたように大きな声で叫びました。

「わ!きっとクーとルーは大きなネコを探しに出たんだ!絶対にそうだ!」

何日か前に町のパン屋さんで、仲良し4匹が集まった時に

ルーが見たと言った大きなネコの話でケンカをしていたのです。

「もしかして、あの時、おれ様がルーの事を笑ったのが悪かったのかなぁ」

スーはルーとクーの事が心配になってきました。

「その2匹のねずみさんは友達なの?」

シュシュが声をかけました。

「そうなんだ、皆でいつも集まっている、パン屋さんの前に来ないって心配していたんだ」

ミー達はこの何日かの間、ずーと2匹の事を心配していたのでした。

「ぼく達、4匹皆が集まらないとパン屋さんのパンは食べないって約束したんだよ」

スーはミーの話を聞きながら、何度もうなずいています。

「どこか遠くに探しにいったのかなぁ・・・おれ様のせいだ・・・」

スーはもっと心配になって来ていたのです。


(9)
スーの心配している姿を見て、今度はミーも心配になってきました。

「犬や大きな鳥に追いかけられていないといいけど」

「うん、ルーのヤツ泣き虫だからなぁ」

と、スーは腕組みをしながら言いました。

そして、ミーがつぶやきました。

「遠くにいっちゃったら、当分帰ってこないよね。パンもとうぶん食べられないんだね」


「なんだとぉ!あいつ達とパンとどっちが心配なんだ!」

スーはカンカンに怒ってしまいました。

その時に「ちょっとケンカなんてしていないで、犬探しはどうなったの?」

シュシュはクスッと笑いながらいいました。

2匹はあわててケンカをやめて、ジョンじいさんにまた尋ねました。

「ジョンじいさん、こんな大きな犬を見なかった?」


スーは両手をおもいきり広げていましたが、ジョンじいさんは犬の事は知りませんでした。

「シュシュ、残念だけど、他のネズミに聞かないと駄目だね」

そして、シュシュがいいました。

「そうね、あの人を探すのと一緒に2匹の友達ネズミさんも一緒に探しましょうよね」

それを聞いたスーとミーはとても心が温かくなりました。


(10)
3匹はジョンじいさんにお礼を言ってから、庭の外に出て町の中を歩き始めました。

「今度はどこを探すの?誰かに聞くの?クー達どこに行っちゃったのかなぁ」

ミーはクーとルーの事が心配でたまりません。

「大丈夫さ、近くにいるに違いないから、すぐに見つかるさ」

本当はスーも心配でしたが、シュシュの犬探しも大切だったのです。

「なんだかぼくお腹空いてきたよ」

食いしん坊のミーはいつもお腹を空かしていました。

「あら、もうお腹が空いてしまったの?どこかに食べ物のお店がないかしら」

シュシュは周りを見渡して探しましたが、食べ物やさんは見たりません。

その時、スーが何か思い出した様に言いました。

「あ、そういえばときどき食べ物をくれる、ネコの奥さんのいる所に行くといいな」

「ネコ?あなた達、ネコの知り合いもいるの?」

シュシュはびっくりして大きな声を出してしまいました。

「そうさ。犬もネコ怖いけど、少しだけ仲良しはいるんだよ」

それを聞いてシュシュはうれしくて早く会いたくなってしまいました。

「そのネコさんに会いたいわ」

「うん、シュシュはきっと仲良しになれるよ。だってこんなに良いネコなんだもの」

ミーにそう言われてシュシュはとてもうれしくなりました。


(11)
3匹が町の広い通りに出てみると、雨が降り始めてきました。

「わー雨が降ってきたよ。」

ミーは耳を押さえながら言いました。

その時、「クスクスあのネズミったら雨が苦手みたいだよ。へんなヤツ」

見えないところから声がしてきました。

それを聞いたスーが大きな声で

「おい!出て来いよ!ミーを笑ったらオレ様がゆるさないゾ!」

スーの声を聞いてびっくりしたのか、あちらこちらから出てきたのは

スー達より小さな種類のネズミ達でした。

あたりには小さいねずみが沢山隠れていたのです。

「わわわ!小さなねずみがいっぱいだよ」

ミーは怖くなってシュシュの背中の毛の中に隠れてしまいました。

1匹の年寄りネズミが近寄ってきて、声をかけました。

「ネズミの君達が何でネコと一緒に歩いているのだね」

年寄りネズミはすっかり毛の色が白くなっていて、声も聞き取れないくらい小さな声でした。

「さっきからなんだ!ネコと一緒だと何か文句があるのかい!」

スーは怒ってしまい、両腕を組んでカンカンです。

「ハハハ、そう怒んなさいな、ネコと一緒の君達の勇気に皆びっくりしているのじゃよ」

そして「そういえば少し前の事じゃが、勇気のある犬を見かけた事があったが、

その犬も2匹のネズミと仲良くしていたのを覚えているのじゃがのう」と言いました。

「え?!!なんだって!!!」

3匹は同じ事を考えていました。


(12)
「もしかして、そのネズミってなんて名前か知っていますか?」

ミーはちょっとだけていねいな言葉で聞きました。

「そうじゃ、1匹はおまえさんみたいに、ていねいな話し方をするネズミじゃったが、

もう一匹は泣いてばかりいて話はしなかったのう」

「もしかして、クーとかルーとかと言う名前ではなかったですか?」

ミーはからだを乗り出しながら聞きました。

「そうじゃ、そういった名前じゃった。2匹とも似たような名前で覚えにくかったんじゃ」

「わーいわーい。ルーとクーは近くにいるんだ!」

スーとミーはうれしくて両手をあげて、ピョンピョンとまるで踊っているようでした。

「近く?いや、あれはずーと遠くの街じゃった気がするんじゃけど、どこじゃったか・・・」

「ずーと遠い?」

2匹は両手をあげたまま、立ち止まって大きな声を出してしまいました。

「そうじゃ、わしらがここに来る前の旅の途中で出会ったのじゃからのう」

「旅の途中!?」

2匹はもっと大きな声を出してしまいました。

「そうじゃ、まっくろな犬の背中に乗って楽しそうに話をしていたんじゃ」

「え?まっくろな犬?」

今度はシュシュが大きな声を出してしまいました。

「そうじゃ、この町からずーと南の山の中じゃった」

「山の中?」


(13)
「山の中って、なんでそんな所にいたんだろう・・・」スーはふしぎに思いました。

「もしかして、勇気のある、まっくろな犬って耳が少し欠けていませんでしたか?」

シュシュは気になる事があるようです。

「おう、そういえば片方の耳が欠けていたんじゃが、おまえさんの知り合いかい?」

シュシュは少し恥ずかしそうにうなずきました。

それを見た年寄りねずみが話を続けました。

「そうじゃ、一緒にいた2匹のねずみ達がなんだか、でっかいケモノに

追いかけられていたのをその犬が助けていたのじゃ。

自分よりもずーと大きなケモノじゃのに、戦って、なんとも勇気のある犬じゃったのう」

「きっとあの人だわ、南の方に行っていたのね」

その時にミーが大きな声で言いました。

「シュシュの探している犬と、ぼく達が探しているクーとルーは一緒にいるんだね!」

「きっとそうじゃ!」

年寄りねずみは深くうなずいて、そう言いました。

「ずーと南に下がって行くといくつかの山があるんじゃが、途中の山にきっとまだいるハズじゃ。

そう言えば、2匹のネズミ達が自分達の家に帰る途中だとか言っておったのう」

「わ!!!スー!!クーとルーが帰って来るよ!、帰ってくる!帰ってくる!!」

ミーは嬉しくて、その辺りをピョンピョンと跳ねて回りました。

「あ!そうだ!」

ミーは何かを思い付いて、突然に止まって言いました。

「きっとお腹すかしているだろうから、僕たちが迎えに行けばいいんだよね」

「え??迎えに??」「むかえに?」

シュシュとスーは驚いてしまいました。


(14)
「そうだよ。いつまでも待っていたって心配なだけだからね」

ミーの気持ちは、もうクー達の方へ向っているのでした。

「わかったわ。私も探しに行くわ。一緒に行ってもいいでしょう?」

シュシュはミーの顔を覗き込んで言いました。

「おいおい、勝手に決めるんじゃないよ。だいたい、どこから森に入ればいいんだ」

スーはちょっと怒った声で言いました。

その時にミーが何かを思い出した様に大きな声をだして

「そうだ!昔、クーと森の暗いケモノ道を見つけたことがあったんだ。

でも、こわがりのルーがあんな暗い道に入って行く訳ないよねぇ」

横で聞いていたスーは

「あのケモノ道に入っていった者は、帰ってきた事がないってウワサだしな」

ミーに続いて、ヒゲをさすりながら怖がらせるかの様に言いました。

その時、シュシュがシッポをピンと立て

「いいわ。行きましょうよ」

いますぐにでも森に向って歩いて行きそうないきおいです。

「本当に行くの?森の中には怖い生き物が沢山いるって聞いたんだよ」

スーはめずらしく、少し怖がっていました。

それを見ていたミーは「きゃはは。スー、怖いんだ!」

お腹をかかえながら笑ころげてしまったのです。

「なんだと!おれ様が怖がっているだと!」

ボガ!ボカ!

スーはカンカンに怒ってミーになぐりかかって行きました。

「ちょっと、またケンカしているの?早く行かないと暗くなってしまうわよ」

「え?」「え、え〜!!今すぐに?」

2匹はケンカをやめてシュシュの方を振り返って見ました。

シュシュはニコニコしながら大きくうなずいて立っていました。



(15)
ドタ!! 「イテテ・・・」

ミーが何かにつまずいて転んでしまいました。

「なんだこれ!?」

【 ここから先は危険 】

それは今は腐って倒れてしまった、森の入り口のたて看板でした。

「ここから入っていったのかしら」 シュシュは迷わず森の中に入っていきました。

「おいまてよ!!!」

スーは怒った声でシュシュの後に続いて小走りに入って行きました。

その後ろから、あわててミーが入っていきました。。

3匹が暗い森のケモノ道をしばらく歩いていると、聞いた事のない鳴き声が聞こえてきます。

最初に歩いているのはスーです。

スーは「こわくないぞ!このオレさまにはこわい物なんて何もないサ!」

と心の中でつぶやいていました。

でも、よく見てみると足はガタガタとふるえていました。

足がふるえているので、しゃべる声も変な声です。

シュシュもミーも気が付いていたのですが、2匹は気が付かないふりをしていました。

その時 「なんだ、何か踏んだぞ!」スーが大声で言いました。

「なんだ、この大量のベリーは!」

スー達の前には沢山のラズベリーやグランベリーが散らばって落ちていました。


(15)
「見てみて!ベリーどれもこれもつぶれてしまって、おまけにくさっているよ」

ミーは鼻をクンクンいわせながら言いました。

「それにしてもこのベリーの集まり方不自然だわ」

シュシュは不思議そうに言いました。

「やっぱり、何かこわい生き物がいるのかなぁ」 

ミーはもっとこわくなってきました。

「ベリーはきっと、その生き物が集めたにちがいないよぉー」

こわくなったミーはスーのうしろに隠れようとしました。

「ミーなんだよ!押すとあぶないじゃないか!今度はおまえが先に歩くんだ!」

怒ったスーはミーの背中を
ドン!と押したので、大変ことに。

「い、いたたた、、、なんだこれ痛いよ。それにぜんぜん動けないよー」

ミーはからまったベリーの枝の中に転んでしまったのです。

おまけに体中にはトゲが沢山ささってしまいました。

「なんだ面倒なヤツだな。ほら、どかしたぞ!」スーが起こそうとしたそのとき。

「わー!!ちょっと見て!スー見て!!」

ミーが大声を出しながら、枝に向かって指をさしています。

そこにあったベリーの枝には、ミーの灰色の毛とはちがう色の毛がからまっていました。

「スー!この茶色の毛は見た事があるよ。それにすこし先が黒い毛だよ」

あわててスーもその茶色の毛を見ました。

「これはルーの毛だ!!間違いない!ここをクーとルーは通ったんだ!」

薄暗い森の中に、大きなスーの声がひびき渡りました。


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