Story page

◇ このページはオリジナルで作る、創作童話のページです。◇

第二章へはこちらから
NEW!
第三章へはこちらから


「シュシュの夢」

第一章
「新しい仲間」




(1)
住宅街の空き地に真っ白の野良猫が住んでいました。

猫の名前は誰が付けたかは不明ですが、シュシュと呼ばれています。

尾は短くて、ほとんどみえないくらいでした。

体格も大きくて、まるで犬のようです。

シュシュはいつも、朝、仕事や学校に出掛ける人間達に

頭や身体をなでてもらう事から始まります。

なでてくれる人間はいつも同じですが、中には猫が嫌いな人間がいて

足で蹴られてしまう事もあるので、少しだけ薄目を開けて

寝ているふりをしていました。

その時、「だめだよ」 「丈夫だってばぁ」

小さな小さな声が聞こえてきました。

シュシュの耳が少しピクピクして、声の方へ向いてしまいました。

「ふぁ〜 何の声かしら?」

シュシュは背中を丸くしてから背伸びをしました。


(2)
声のする方を見てみると、誰もいません。

「あら、私の気のせいだったのかしら?小さな声がしたとおもったけど・・・」

シュシュは顔の毛づくろいをしながら、辺りを眺めまわしてみました。

その時、「よかった・・・スーが大きな声を出すから、ネコが起きてしまったよ」

「なにを!おまえが先に声を出したんだろう!」

草の茂みの中でけんかをしている、小さな小さな声が聞こえて来るのです。

「だめだよ!おおきな声を出したら気付かれちゃうよ」

「なんだとぉ!!」

周辺にはけんかの声と同時に、茂みの揺れたガサガサという音が響き渡ってしまいました。

「なに?だれ?なんの声なの?」

シュシュは声のしている茂みを手で掻き分けました。

「え??ねずみ?」

「!?」 

「!!!わ、わわわゎ〜〜〜!!」

シュシュの声に気が付いた2匹のねずみは慌てて逃げ出しました。

「ちょっと、まって!!」シュシュは大声で叫びました。

「わ〜!!」 「た、たすけて!」

シュシュの前足に押さえられて、動けなくなっていたのは2匹のねずみです。

そのねずみ達の名前はくいしんぼうのミーとおこりぼうのスーです。


(3)
ミーはジタバタしながら言いました。

「ネコさん、僕なんか食べてもおいしくないよ。どうせならこのでっかいねずみが良いよ」

「なんだとー!!!」スーはカンカンです。

「だいたいがネコの食べ物盗もうって、おまえが言い出したんだろう!」

ボガッ!

「いたたた!一緒に盗もうって言ったのはスーだよ!」

「なんだとぉ!!」

ボガッ!ボガッ!

2匹はシュシュの手の下で殴りあいを始めてしまったのです。

「ちょっと!ねずみさん達、私の前足の下でけんかしないでよ」

シュシュは両前足で2匹を押さえて動けなくしていまいました。

「うーーん!!動けいないゾ!こうなったら覚悟を決めた!好きにしてくれ!」

スーは目をつぶって食べられる覚悟を決めました。

「僕はいやだな。もっと美味しい物をたっぷりと食べてからがいいもの」

くいしんぼうのミーはシュシュの前足から逃げようとしました。

「いいわよ。2匹とも逃がしてあげる」

それを聞いてスーもミーもホッとしました。

でも、続けて言ったのは

「その代わり私の言う事を聞いてくれたらだけど、約束してくれる?」

「約束??」「約束??」

2匹は同時に言いました。

ちょっとだけ、ネコの事が怖くなくなっていました。


(4)
「言う事は聞いてもやってもいいけど、おれ達はもう『約束』はしないって決めたんだよ」

「うん、そうなんだ、そう決めたんだよね」

2匹は顔を見合わせて気まずそうに言いました。

それを聞いたシュシュは理由を聞きたくなり、思わず、前足を持ちあげて

「何で約束をしないって決めたのか、聞いてもいいかしら?」と尋ねました。

その時には2匹のねずみはジタバタしなくても立っていられる様になっていました。

ミーはほほに付いたドロを落としながら、小さな声で

「あのパン屋さんはぼくの一番のお気に入りだったんだよ・・・」と言ってしまったのですが、

それを聞いたスーは急に怒りだして、ミーに飛びかかり、どなりました。

「ミー!なんて事を言うヤツだ!あのパン屋のパンは4匹一緒でないと

食べないって決めたんだから、仕方ないのさ」

スー達はパン屋さんで何かの約束をしていた様です。

「そんな事よりもネコさんの聞いて欲しい事って?」

スーは少し背高をしながら、自分達の『約束』の事から話をそらす様にそう言いました。

「聞いて欲しい事って、あのね。私が小さい頃に助けてくれた人がいるの」

「え?助けてくれた?」

「そう、大きな犬に追いかけられていた時に助けてくれた人に会いたいの」

それを聞いて2匹は思わず「ゴクリッ」とツバを飲み込んで同時に言いました。

「会いたいって、、もしかして、、、それってまさか・・・・」

「そう、犬よ。私と一緒に探して欲しいの。」

「さ、探す〜〜!!!」 「犬!?」 「おれ達が!!???」

スーとミーは頭の先からシッポの先まで毛が逆立ってしまいました。


(5)
「ブルブル・・犬をねずみのおれ達が探すって、まさか本気じゃあないだろうね」

スーはシッポの毛を直しながら言いました。

スーの後ろに隠れていたミーも小さな声で

「犬って、なんでネコのあなたが探しているの?」と聞きました。

「だから小さい頃に助けてもらったの」

「それも大きな犬に追いかけられていた時に、突然、現れて戦って追い払ってくれたのよ」

「え??犬が犬を?」ミーはびっくりしました。

2匹はいつも猫や犬に追いかけられて怖い思いをしていたのです。

「そう、それに大きな犬を追い払った後に、何も言わないで、どこかに行ってしまったの」

シュシュはその時の事を思い出して、目に涙が浮かんできていました。

「そうか、そいつ良い犬なんだなぁ・・・知り合いの犬のジョンじいさんも良いヤツだよ」

「よし、一緒に探してやってもいいぞ。でも『約束』はしないぞ」

スーは一歩前に出てから、片手でポン!と胸を叩いて、そう言いました。

その時、
グーーーー

ミーのお腹が鳴ってしまい、皆で笑ってしまいました。

「まずは腹ごしらえをしてからだな!」スーは今度ポン!とお腹をたたきました。

「うん!お腹いっぱいにしてからだ!!」食いしんぼうのミーは嬉しくてたまりません。

「いいわよ。私の食べ物をあげるわ」シュシュは2匹に食べ物をあげました。

空には太陽が高く昇って、辺りはすっかり明るくなっていました。

『約束』はしないまま、猫のシュシュとねずみのスーとミーの犬探しの始まりです。


(6)
3匹は空き地から道路に出て犬探しに歩きだしました。

「よし!3匹で探せばきっと見つかるゾ!さあ行くぞ!!」

小さな拳を高く上げながら、力強く言ったスーの声は辺りに響き渡りました。

その時「でも、探すってどうやって探せばいいの?」尋ねたのはミーです。

「そうだなぁ、あんたは何か手がかりになる事を知らないのか?」

スーはシュシュの顔を見上げていいました。

「私にもどうすればいいか解からないの。

犬を探すのには犬に聞くといいのでしょうけど、私怖くて聞けないわ」

「そうかぁ・・・犬が怖いのは同じだよ。そういえばあんたの名前を聞いてなかったな」

「そういえばそうね。私の名前はシュシュよ。よろしくね」

シュシュは2匹に向っておじぎをしながら言いました

「シュシュかぁ。。。可愛い名前だね。僕はミーよろしく」

「なんだ、おれよりも先に名前を名乗るんじゃぁないぞ!おれの名前はスーだ」

少し怒った顔をしていましたが、それは少し恥ずかしかったからです。

「あ!!そうだ!」

スーが突然に思い出した様に言いました。

「そうだ!おれ達には友達の犬がいたんだ。ジョンじいさんがいるよ」

「そうだ!なんで気が付かなかったのかな」ミーも嬉しそうに言いました。

「シュシュ、ジョンじいさんの所に行ってみる?」

「なんだ!なんでお前が言うんだ!おれが言おうとしたんだぞ!」

ボガ! 

イタタタ・・・スー何をするんだよ!ボガ!


スーとミーはまた殴り合いを始めてしまったので、シュシュは笑ってしまいました。

「ねえ、お二人さん、そのジョンさんの所に連れていって欲しいけど、まだケンカは続くの?」

それを聞いた2匹は何事もなかったかの様な顔をして

シュシュの所に寄ってきて言いました。

「僕が連れて行くよ」

「なんだと!オレが連れて行くんだぞ!」

2匹はシュシュをジョンじいさんの所まで連れて行く事にしました。


(7)
ミーは頭のコブをさすりながら歩いていました。

「スー、ジョンじいさんって耳が遠いよね。僕達の言う事をきちんとわかるかなぁ?」

「じゃあ、オレ様がでっかい声で聞いてやるさ!ハハハ!」

スーは胸を前に突き出しながら、みんなの前を歩いています。

どのくらい歩いたでしょうか、シュシュの知らない道をいくつも通り過ぎて、

スー達がいつも遊んでいる道に出てきました。

その時、突然にスーが立ち止まり、見た事もない綺麗な家の中の方を覗き込みました。

「ちょっと、オレ見て来る」スーは家の中に入って行ってしまったのですが、

「スーはどこに行ったの?」心配になったシュシュはミーに尋ねました。

「この家にジョンじいさんが住んでいるんだ。でも、ちょっと怖い人間もいるからね」

ミー達は人間にいつも怖い思いをさせられていたのです。

「オーイ!こっちに来てもいいぞ〜。今はジョンじいさんだけだそ」

それを聞いてミーはほっとした顔をしてシュシュを中に連れて行きました。

「ほら、ジョンじいさん居眠りしているみたいなんだけど、どうする?」

シュシュはジョンじいさんを見て、びっくりしました。

「こんな大きい犬と仲良しなの?驚いたわ」

ジョンじいさんはこの辺では一番に大きな犬だったのです。

「なんだ、だれかワシを呼んだかね」

居眠りをしていたジョンじいさんが起きてしまいました。

「おひさしぶりです。おじいさんにお聞きしたい事があるんだけど」スーが尋ねました。

「聞きたいこと?そういえば、ちょっと前におまえ達といつも一緒の

ねずみが達が来た様な気がするんじゃがのう」

「ネズミ達?」ミーとスーは大きな声をあげてしまいました。

「そうじゃ。なんだかおおきなクマを探しとるとか」

「大きなクマ?」 「大きな!?」

スーとミーは何か大変な事に気がついたようです。


第二章へはこちらから

BACK


童話ページは他のページ同様、著作権は管理者宇田泰子に帰属します。
画像、文章の転載、複写は固く禁止します。□